ビタミンCは、欠乏を防ぐために定期的に摂取する必要がある必須栄養素です。

先進国では新鮮な食材が手に入り、特定の食品やサプリメントにビタミンCが加えられているため、欠乏症は比較的まれですが、それでも米国では成人のおよそ7%が罹患しているといわれています。
ビタミンC欠乏症の最も一般的な危険因子は、貧しい食生活、アルコール中毒、食欲不振、重度の精神疾患、喫煙、人工透析などです。
ビタミンCの欠乏症がひどくなると、数ヶ月かかることもありますが、いくつかの微妙な兆候に注意する必要があります。
ビタミンC不足の代表的な15の兆候と症状を紹介します。
1. 肌荒れ、デコボコ
ビタミンCは、皮膚、髪、関節、骨、血管などの結合組織に多く含まれるタンパク質であるコラーゲンの生成に重要な役割を果たします。
ビタミンCが不足すると、毛孔性角化症と呼ばれる皮膚病が発生することがあります。
毛穴の中にケラチンタンパク質が溜まって、上腕の裏側や太もも、お尻などにデコボコの「鶏皮」ができる症状です。
ビタミンC不足による毛孔性角化症は、通常、3~5ヶ月の摂取不足で現れ、サプリメントで解消されます。
しかし、毛孔性角化症には他にも多くの原因が考えられるため、その存在だけでは欠乏と診断することはできません。
概要: ビタミンCの欠乏は、腕、太もも、または臀部に小さなにきびのような隆起を形成することがあります。しかし、これらの隆起だけでは、欠乏症と診断するのに十分ではありません。
2. コルク栓のような体毛
また、ビタミンCが不足すると、髪が成長する過程でタンパク質の構造に欠陥が生じ、髪が曲がったり巻いたりすることがあります。
コルク栓のような形状の毛髪は、ビタミンC不足の特徴的な兆候の一つですが、このような損傷した毛髪は折れたり抜けたりしやすいので、目立たないかもしれません。
毛髪の異常は、十分な量のビタミンCの投与により、多くの場合1ヶ月以内に消失します。
概要: 異常に曲がった、コイル状、またはコルク栓状の体毛は、ビタミンC不足の顕著な兆候ですが、これらの毛は抜けやすいため、発見が困難な場合があります。
3. 真っ赤な毛根
皮膚の表面にある毛根には、血液や栄養を供給するための小さな血管がたくさんあります。
ビタミンCが不足すると、この細い血管がもろくなり、破れやすくなるため、毛根の周りに小さな真っ赤な斑点ができます。
これは毛包周囲出血と呼ばれ、重度のビタミンC欠乏症の兆候であることがよく知られています。
ビタミンCのサプリメントを摂取すると、通常2週間以内にこの症状は治まります。
概要: 毛根にはたくさんの細い血管があり、ビタミンCが不足すると破裂して、毛根の周りに鮮やかな赤い斑点ができることがあります。
4. スプーン状の爪に赤い斑点や線がある
スプーン型の爪は、凹んだ形が特徴で、細くてもろいものが多いです。
鉄欠乏性貧血との関連が強いですが、ビタミンC欠乏症との関連も指摘されています。
ビタミンCが不足すると、血管が弱くなり破れやすくなるため、爪甲に赤い斑点や縦線ができることがあります(破片出血と呼ばれます)。
手足の爪の見た目は、ビタミンC不足の可能性を判断するのに役立つかもしれませんが、診断材料とはみなされないので注意が必要です。
概要: ビタミンCの不足は、スプーン状の指の爪や爪の下の赤い線や斑点を伴うことがあります。
5. 乾燥肌、ダメージ肌
健康な肌には、特に表皮や皮膚の外側の層に多量のビタミンCが含まれています。
ビタミンCは、太陽やタバコの煙、オゾンなどの汚染物質による酸化ダメージから肌を守り、健康な肌を保ちます。
また、コラーゲンの生成を促進し、ふっくらとした若々しい肌を保ちます。
ビタミンCの摂取量が多いと肌質が良くなり、少ないと乾燥肌やシワの発生リスクが10%上昇することが分かっています。
肌の乾燥やダメージはビタミンC不足と関連することがありますが、他の多くの要因によって引き起こされることもあるため、この症状だけでは不足と診断することができません。
概要: ビタミンCの低摂取は、乾燥や日焼けで傷んだ肌と関連していますが、他の要因でもこのような症状を引き起こす可能性があります。
6. 打撲傷を負いやすい
あざは、皮膚の下にある血管が破れ、血液が周囲に漏れ出すことで発生します。
コラーゲンの生成が悪いと血管が弱くなるので、あざができやすいのはビタミンC不足の共通点です。
欠乏症によるあざは、体の広い範囲を覆うか、皮膚の下に小さな紫色の点として現れることがあります。
あざができやすいのは、ビタミンC不足の最初の明らかな症状の一つであり、ビタミンCのレベルをさらに調査する必要があります。
概要: ビタミンCの欠乏は血管を弱め、簡単にあざができるようになります。それはしばしばビタミンC欠乏の最初の明白な徴候の1つです。
7. 傷の治りが遅い
ビタミンCが不足すると、コラーゲンの生成速度が遅くなるため、傷の治りが遅くなります。
慢性的な下腿潰瘍が治癒していない人は、慢性的な下腿潰瘍がない人に比べて、ビタミンCが著しく不足していることが研究により明らかにされています。

ビタミンCの不足が深刻な場合、古い傷が再び開き、感染症のリスクが高まることもあります。
傷の治りが遅いのは、欠乏症の兆候の中でもより進んだものの1つで、通常、何ヶ月も欠乏が続くまでは見られません。
概要: ビタミンCの欠乏は、組織の形成を妨げ、傷の治りが遅くなる原因となります。これは欠乏の高度な兆候と考えられるため、他の徴候や症状が先に現れる可能性が高いでしょう。
8. 関節の痛み、腫れ
関節にはコラーゲンを多く含む結合組織が多く存在するため、ビタミンC不足の影響を受ける可能性があります。
ビタミンCの欠乏に伴う関節痛は、足を引きずったり、歩行困難になるほどの重症例が多く報告されています。
また、ビタミンCが不足すると、関節内に出血が起こり、腫れや痛みを引き起こすことがあります。
しかし、これらの症状はビタミンCのサプリメントで治療でき、一般的には1週間以内に治ります。
概要: ビタミンCの欠乏は、しばしば激しい関節痛を引き起こします。重症の場合、関節内に出血が起こり、痛みを伴う腫れが生じることがあります。
9. 骨が弱い
ビタミンCの欠乏は、骨の健康にも影響を及ぼします。摂取量が少ないと、骨折や骨粗鬆症のリスクが高くなることが指摘されています。
ビタミンCは骨の形成に重要な役割を果たすため、不足すると骨の減少率が高まることが研究で明らかにされています。
子供の骨格はまだ成長途上であるため、ビタミンC不足の影響を大きく受ける可能性があります。
概要: ビタミンCは骨の形成に重要であり、欠乏すると骨が弱くなったりもろくなったりするリスクが高まります。
10. 歯ぐきからの出血と歯の喪失
歯茎が赤く腫れ、出血するのもビタミンC不足の代表的なサインです。
ビタミンCが不足すると歯周組織が弱くなり、炎症が起こり、血管から出血しやすくなります。
ビタミンC不足が進行すると、歯茎が紫色になり、腐っているように見えることもあります。
最終的には、不健康な歯ぐきと、歯の内側にある石灰化した象牙質の弱さによって、歯が抜け落ちることもあります。
概要: 赤く出血した歯茎は、ビタミンC不足の一般的な兆候であり、深刻な不足は歯の喪失につながる可能性があります。
11. 免疫力低下
ビタミンCは、様々な種類の免疫細胞の内部に蓄積され、感染と戦い、病気の原因となる病原体を破壊するのを助けるという研究結果があります。
ビタミンCの不足は免疫力の低下を招き、肺炎などの重篤な病気を含む感染症のリスクが高くなります。
ビタミンCの欠乏によって起こる病気である壊血病の患者の多くは、免疫機能が低下しているため、最終的に感染症で死亡します。
概要: ビタミンCは免疫系に重要な栄養素です。低レベルは感染症のリスク上昇と関連しており、重度の欠乏は感染症による死亡を引き起こす可能性があります。
12. 持続的な鉄欠乏性貧血
ビタミンCと鉄欠乏性貧血は併発することが多いです。
鉄欠乏性貧血の兆候としては、顔色が悪い、疲れやすい、運動時に息苦しい、肌や髪が乾燥する、頭痛、爪がスプーン状になっている、などがあります。
ビタミンCの低レベルは、植物性食品からの鉄の吸収を低下させ、鉄の代謝に悪影響を与えることにより、鉄欠乏性貧血の一因となる可能性があります。
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また、ビタミンCが不足すると、過剰出血のリスクが高まり、貧血の一因となります。
鉄欠乏性貧血が長く続き、原因がはっきりしない場合は、ビタミンCの濃度をチェックするのが賢明かもしれません。
概要: ビタミンCの欠乏は、鉄の吸収を低下させ、出血の可能性を高めることにより、鉄欠乏性貧血のリスクを高める可能性があります。
13. 疲労感や気分の悪さ
ビタミンC不足の最も早い兆候は、疲労と気分不良の2つです。
これらの症状は、本格的な欠乏症になる前にも現れることがあります。
疲労感やイライラが最初の症状として現れることがありますが、通常、十分な摂取を数日続けるか、高用量のサプリメントを摂取した場合は24時間以内に解消されます。
概要: 疲労や気分不良の兆候は、ビタミンCのレベルが低いか正常であっても現れますが、ビタミンCを十分に摂取することで早期に改善します。
14. 原因不明の体重増加
ビタミンCは、脂肪細胞からの脂肪の放出を調節し、ストレスホルモンを減少させ、炎症を減少させることにより、肥満から保護するのに役立つと考えられています。
ビタミンCの低摂取と過剰な体脂肪の間には一貫した関係があることが研究により判明していますが、因果関係があるかどうかは不明です。
興味深いことに、ビタミンCの血中濃度が低いと、標準体重の人でもお腹の脂肪の量が多くなることが分かっています。
体脂肪が多いだけではビタミンC不足とは言えませんが、他の要因を除外した上で検討する価値があるかもしれません。
概要: ヒトではビタミンCの摂取量が少ないと体脂肪が増加することが知られていますが、食事の質など他の要因が関与している可能性があります。
15. 慢性炎症と酸化ストレス
ビタミンCは、体にとって最も重要な水溶性抗酸化物質の一つです。
体内で酸化ストレスや炎症を引き起こすフリーラジカルを中和し、細胞の損傷を防ぐのに役立ちます。
酸化ストレスと炎症は、心臓病や糖尿病を含む多くの慢性疾患と関連しているため、そのレベルを下げることは有益です。
ビタミンCの摂取量が少ないと、炎症や酸化ストレスのレベルが高くなり、心臓病のリスクが高まることが知られています。
ある研究では、ビタミンCの血中濃度が最も低い成人は、ビタミンCが欠乏していないにもかかわらず、血中濃度の高い成人に比べて15年以内に心不全を発症する確率が40%近く高いことが明らかになりました。
概要: ビタミンCのような抗酸化物質の定期的な摂取は健康上の利点と関連しますが、摂取量が少ないと炎症や酸化ストレスが増加する可能性があります。
ビタミンCを摂取するのに最適な食品
ビタミンCの1日の推奨摂取量は、男性90mg、女性75mgです。
喫煙者は、タバコがビタミンCの吸収を低下させ、体内での栄養素の使用を増加させるため、1日35mgの追加摂取が推奨されています。
壊血病を予防するために必要なビタミンCはごくわずかです。1日10mgで十分です。これは、大さじ1杯の新鮮なピーマン、またはレモン半個分の果汁に含まれる量とほぼ同じです。
ビタミンCを摂取できる食品(1カップあたり)には、以下のようなものがあります:
- アセロラチェリー: 1日の推奨摂取量の2,740%。
- グアバ: 1日の推奨摂取量の628%。
- カシス: 1日の推奨摂取量の338%。
- 唐辛子: 1日の推奨摂取量の317%。
- キウイフルーツ: 1日の推奨摂取量の273%。
- ライチ: 1日の推奨摂取量の226%。
- レモン: 1日の推奨摂取量の187%。
- オレンジ: 1日の推奨摂取量の160%。
- ストロベリー: 1日の推奨摂取量の149%。
- パパイヤ: 1日の推奨摂取量の144%。
- ブロッコリー: 1日の推奨摂取量の135%。
- パセリ: 1日の推奨摂取量の133%。
ビタミンCは熱にさらされると急速に分解されるので、加熱したものよりも生の野菜や果物の方が良いです。
ビタミンCは体内に大量に蓄積されないため、毎日新鮮な野菜や果物を食べることが推奨されます。
ビタミンCの補給は通常毒性はありませんが、毎日2,000mg以上摂取すると、腹痛、下痢、吐き気を起こし、男性ではシュウ酸塩腎臓結石の発症リスクが高くなる可能性があります。
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また、1日250mg以上の服用は、便や胃の中の血液を検出するための検査に干渉する可能性があり、検査の2週間前に中止する必要があります。
概要: 新鮮な果物や野菜はビタミンCの優れた供給源であり、毎日摂取することで欠乏症を予防する必要があります。ビタミンCの補給は通常毒性はありませんが、高用量では不快な副作用を引き起こす可能性があります。
概要
ビタミンCの欠乏は、先進国では比較的まれであるものの、20人に1人以上が罹患しています。
人間はビタミンCを作ったり、大量に蓄えたりすることができないため、欠乏症を防ぐために定期的に摂取する必要があり、理想的には新鮮な果物や野菜から摂取することが望ましいです。
欠乏の兆候や症状は数多くありますが、その多くはコラーゲン生成の障害や十分な抗酸化物質の摂取が行われていないことに関連しています。
欠乏症の初期症状として、疲労感、歯ぐきの赤み、あざや出血しやすい、関節痛、肌のざらつきやでこぼこなどがあります。
欠乏が進むと、骨がもろくなり、爪や髪に変形が生じ、傷の治りが遅くなり、免疫力が低下することがあります。
炎症、鉄欠乏性貧血、原因不明の体重増加なども注意すべきサインかもしれません。
ありがたいことに、ビタミンCのレベルが回復すれば、欠乏症の症状はたいてい治まります。